YUTAKA MAKINO fhoto gallery.
牧野 裕  







略歴

 1947年 岐阜県付知に生まれる。5歳で名古屋の今池に転居し、名古屋市立工業高校、
名城大学法学部に学ぶ。
 1982年 そあスタジオを設立し、主として建築写真を録る傍ら、「名古屋モード学園」での
講義、雑誌「新住宅社」の専属カメラマンとして活躍。
 ライフワークとしては「はたちの娘たち」「グライダー(SOARER)」の撮影等、多岐にわたる。

※出版著書  「美しき飛翔体 SOARER」 定価2、500円 (そあスタジオにて取り扱い)
                     ・愛知県、岐阜県、三重県の公共図書館にて閲覧可能。



 1987年5月 私は、木曽川滑空場で生まれて初めてグライダーを見ました。
大きくて美しい飛翔体が突然風を切りながら目前に舞い降りました。
 パイロットにとっては、自らを大空の世界へ連れて行ってくれる乗り物を、「写真のモチーフ」という目で見たとき、それはまさしく私が求めていたものでした。
 風を捉えて上昇し、静   寂の時を舞う白く眩しい機体は、限りなく高貴で優美なものでした。しかしそれは、地上に在っては、脈も呼吸も止まった剥製の鳥にすぎません
きびきびとした働き蜂のような若い人たちの世話がなければ、再び大空へ飛翔することは叶わないのです。実はこの“人間の知恵と体育会系体力”が被写体に絡み、そのことがグライダーをより魅力的なモチーフにしているのです。流体力学を極めたなまめかしいばかりのグライダーの姿態は、勿論それだけで充分存在感があります。しかし、やはりというか「人の関わりが見えぬ」に何の写真と云えましょう哉。「人物に始まって人物に終る」この鉄則はどんなプロセスにあっても活かさなければ・・・、との思いは常に私の心の中に刻まれています。